「システム開発寄りの保守業者」と「ECの苦労が分かっている保守パートナー」の違い

目次
【AIによる要約】
– ECサイトの保守は、技術対応力に加えて「EC運営そのものの経験があるか」で対応の姿勢に違いが出ることがあります。
– 選ぶときは「EC運営を当事者として経験しているか」「トラブル時に売上への影響まで考えて提案してくれるか」といった視点も判断材料にできます。
– 見直す際は「繁忙期の対応実績」「決済エラー時の初動」「障害時の報告の単位」を具体的に質問してみてください。
はじめに:見積書だけでは分からない「質」の差
ECサイトの保守管理を外部に依頼するとき、多くの担当者が比較するのは料金表と対応範囲の一覧です。しかし、実際にサイトを運営している方なら一度は感じたことがあるのではないでしょうか。
「どこも料金も対応範囲も似たようなのに、いざトラブルが起きたときの対応の雰囲気が違う」
この差はどこから生まれるのか。頼む前には分かりにくく、頼んだ後には違いを実感しがちなこの「質」の差について、当社の経験をもとに解説します。なお、システム開発会社の技術力そのものを疑うものではありません。技術的に正確な対応は大前提として、その上で「EC運営の経験の有無」によって判断の視点が変わってくる、というのが本稿の趣旨です。
「システム開発寄りの保守業者」に起こりがちなこと
システム開発会社がECサイトの保守を請け負うこと自体は、まったく珍しいことではありません。技術的な対応力に問題があるわけではなく、EC運営の経験が少ない会社には、次のような傾向が見られます。
1. 「システムが正常に動いているか」を軸に判断しがち
商品ページが表示されており、決済APIもエラーを返していない。技術的には「正常」です。
しかし運営者の目線では、以下のような事象はすべて「売上に直結する重大事態」です。
- クーポンコードが意図せず適用されず、SNSで「使えない」と拡散されている
- 商品画像の表示が遅く、モバイルの離脱率が上がっている
- 送料計算が一部の地域で実際の設定とズレている
「エラーログが出ていないから問題ありません」という報告は、技術的には正しいのですが、運営者にとっては物足りなく感じられます。
2. 優先順位の判断が「技術的緊急度」基準になる
決済が一部のカードでエラーになっている事象と、管理画面の見た目の崩れ。どちらを先に直すべきか。
システム屋の感覚では前者が優先です。技術的緊急度で判断するのは理にかなっていますが、例えば夜9時以降の受注が売上の大半を占めるサイトで、昼間だけ発生する表示崩れが顧客離れを招いているケースでは、ECの売上構造を知っているかどうかで優先順位の提案が変わってきます。
ECの売上構造を知らないと、「正しい順番」の判断にズレが生じることがあるのです。
3. 繁忙期の重みが分からない
ECには「絶対に止められない時期」があります。外部の保守業者でも、EC運営の経験が浅いと、この時期の重みを測りかねる傾向があります。
- バージョンアップ作業を安易に繁忙期に設定してしまう
- 「いつでもやれますよ」という姿勢で、公開タイミングの提案をしない
- セール中の障害対応の深刻さを軽く見る
参考までに、経済産業省の調査でもEC市場は年々拡大しており、ECサイトの安定稼働が事業継続に直結する状況は今後さらに強まります(出典:経済産業省 電子商取引に関する市場調査)。
「ECの苦労が分かるパートナー」に期待できること

一方で、自社でもECを運営している保守会社には、次のような特徴が見られます。
1. 報告の単位が「売上」になっている
「この不具合により、夜間の注文が約3時間受け付けられない状態でした。復旧済みです。念のためこの時間帯の受注件数を確認することをおすすめします」
これは技術の報告であると同時に、事業の報告です。当社は自社でも複数のECサイト・Webサービスを運営しているため、障害発生時には「システムの復旧」と「売上・顧客への影響」の両面で初動を考えます。
2. 当事者として「予防」の費用対効果を語れる
EC-CUBEのようなCMSでは、脆弱性情報が公開された後、攻撃コードが出回るまでの猶予は極めて短いのが実情です。実際にEC-CUBEでは過去に複数の重大な脆弱性が発表され、放置したサイトへの攻撃が現実に発生しています(出典:EC-CUBE 公式 脆弱性情報、JVN(JPCERT/CCとIPAの共同提供脆弱性対策情報ポータルサイト))。
EC運営の経験が少ない会社だと、アップデート対応を「推奨事項」として扱いがちです。当事者の立場に立ってみれば、これは「店に鍵を掛けないで営業する」のと同じ話であり、実害が出てからではなく、実害が出る前に動くべき費用だと分かります。
3. 失敗談を持っている
自社でECを運営している会社は、公開できるかどうかは別として、「やらかし」の経験を持っていることが多いものです。深夜の障害対応、予約したアップデートが想定外の影響を出したこと、それらを経由して出来上がった運用ルール。
こうした当事者としての経験は、支援実績の数字とはまた別の安心材料になります。一般論ではなく、その会社が事業運営者として直面した具体的な事例を語れるかどうか、面談のときにぜひ聞いてみてください。
選ぶときのチェックリスト
保守パートナーを選ぶ・見直すときに使える質問リストです。
- 自社でECサイトを運営した経験があるか?(EC事業、またはオウンドメディア運営でも可。当事者経験の有無は対応姿勢に影響することがあります)
- 障害発生時の初動フローを具体的に説明できるか?(「監視しています」だけでなく、検知から復旧、影響報告までの流れ)
- 繁忙期(決算期・大型セール等)の作業計画はどう立てるか?
- EC-CUBE等のバージョンアップ代行の実績はあるか?(マニュアル改修が多いサイトでの実績が特に重要です)
- 代理店を挟まず、直接エンジニアとやり取りできる体制か?(間に入る人間が増えるほど、緊急時の伝達ロスが増えます)
当社の立場として
当社カジヤは、Webシステム・ECサイトの構築・保守を専門とする会社でありながら、自社でも複数のWebサービス・EC事業を実際に運営しています。
- 業界歴10年以上、300社以上の企業サイト・Webシステム支援実績
- 代理店を挟まない直接取引で、社内の専任エンジニアが一貫対応
- 自社事業の運営経験から、「サイトが止まることの重み」を当事者として理解
ECサイトの保守は、「動いているかどうか」を監視するだけの仕事ではありません。そのサイトが売上を生み続けるために、何をいつ、どの順番で守るべきかを判断し続ける仕事だと私たちは考えています。
「うちの保守、体制を見直したほうがいいのかな」と少しでも感じている方は、まず現状の体制を一緒に確認するところから始めてみませんか。お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。詳細なサービス内容はWebサイト保守管理サービスのページでもご案内しています。